CONCEPT

外装/内装/開口部

外装
外壁については、木造では窯業サイディング・木板・モルタル・ガルバリウム鋼板など、鉄骨造ではそのほかにALCやセメント系成形材、RC造ではタイルや塗装仕上、打ち放し等があります。基本的には全体のデザインやコストによって使い分けるので、特に強い志向はありませんが現在では木造はガルバリウム鋼板製のものを使用する事が多くはなっています。金属板の弱点である錆に強く、軽量のため耐震性も損ないません。またサイディングのように継ぎ目にシーリングをしないので、メンテナンスが容易なのも理由です。しかし、木板やモルタルもガルバリウム鋼板にはない質感があり、モルタルは昔のように割れるケースは少ないですし、木板は適切に使えば最も長寿命ともいえる非常に良い材料です。また一方で、屋上の無い屋根に関しては雨仕舞や耐久性の理由で、現在はガルバリウム鋼板がほとんどです。屋上を設ける場合は、その使用頻度や構造によってアスファルト防水、シート防水、FRP防水などを使い分けています。

内装
まずは床について。現在、椅子を使った生活が主流になったためフローリングで仕上げた床が非常に多くなっています。フローリングにも無数の種類がありますが、住宅の中でもっとも身体に触れている時間が長い部分である上、床に直接座る可能性も考えると触感と質感に優れる無垢材を出来る限り使うようにしています。また、無垢材はメンテナンス性に劣るという誤解も多いのですが、表面にプリントを貼ったフローリングは一度剥がれてしまえばおしまいですが、その点無垢材は掃除しきれないシミが出来ても紙ヤスリで少し削れば元通りになりますし、何より経年変化で色味が変わっていく楽しさが味わえます。一口に無垢材と言っても金額的にはピンからキリまであり、木目の美しさや幅広のものなど高価な物も沢山ありますが、一方で低価格の物でも無垢材の利点である質感や経年変化といった部分では高価な物と全く遜色がないので全体のコストに見合った物を選ぶ事が可能です。その他、壁や天井の材料に関しては非常にたくさんの材料や工法があり、また床ほどに実用上の制限も無いため、それぞれの空間に応じて様々な使い方が可能です。

開口部
建物は、床/壁/屋根と開口部で出来ていると言っても過言ではありません。開口部は大きく分けて外部と内部ありますが、素材的には木製、アルミ製、スチール製、ステンレス製のいずれかがほとんどかと思います。それぞれに適材適所はありますが、外部であればいわゆるアルミサッシが最も多く流通しています。しかしながらアルミサッシは既製品のため開き勝手やサイズに制限があったり、質感などの理由で我々は木製を採用する事もあります。また、玄関ドアは客を迎え入れる部分でもあるので、木製の製作ドアや防火性能が必要であればスチール製などを使用する事がほとんどです。外部の建具について打合せの際、比較的良く出る話題としてシャッターや雨戸の件があります。通常、建て売りやハウスメーカーの住宅では、大抵シャッターや雨戸がサッシに付属して取り付けられており、それがあたりまえと感じている人もいらっしゃいますが、これは必ずしもそうではないと考えています。シャッターや雨戸の必要性として多いのが、「防犯」と「遮光」「断熱」が挙げられます。まず「断熱」については、現在では複層ガラスが一般的になり雨戸の有無でそれほど大きく変わることはありません。また「遮光」に関しては、カーテンやロールスクリーンなどで随時遮光する方が遮光の具合も調整できますし雨戸よりも操作も簡単です。そして比較的多く話題になる「防犯」について。アルミ製のシャッターや雨戸はプロの手にかかればあっという間に切ることができ、さほど強力な防犯性能とはいえません。むしろ防犯性を気にするのであれば、切断されにくい防犯ガラスを使用する方がよほど合理的といえます。また別の方法としてはアルミサッシの内側に木製の建具を入れることをおすすめしています。これは遮光の役割を果たしながら、侵入者に対して切断の面倒さももちろんですが「一般的な住宅と異なる」という点で侵入を妨げる心理的な防犯性能も期待できます。
また、内部建具でも現代では既製品も多く流通していますが、コストとのバランスの中で可能であれば、出来るだけ建具職人による製作をしてもらうようにしています。もちろん既製品は取付けの手間なども含め非常に良く考えられていますが、一方で細部の見た目や質感などはあまり選ぶ事が出来なかったり、意図した場所にピッタリ納めるのが難しかったりと不都合もあります。いつも開け閉めをする建具は特に、納まりや建具の金物など細部にこだわると、普段のなにげない動作も心地よく感じられると考えています。