●ハウスメーカー・工務店・設計事務所
新しいすまいを考えるにあたって、誰もがどこに相談し依頼すれば良いか迷うと思います。ある人はハウスメーカーやマンションの展示場に行ってみたり、またある人は親戚に建築関係の人がいればとりあえず相談してみたり、あるいはウェブで検索してみたりと、人それぞれのアプローチを試みると思います。なので、まずは一般的にどのような方法があるのかということから書いていこうと思います。
まず住宅を手に入れようとすると、おおまかに分けて3種類の依頼先があります。
1.建売・中古
2.メーカー
3.工務店
4.設計事務所
それぞれについて、概要とメリット、デメリットを書いていきます。
1.建売・中古
新築の建売から中古住宅まで様々な可能性がありますが、既に建設済みの住宅を購入するというひとつの括りとします。
○様々な建物があると思いますが、どれも実際に見て検討することができます。
×建設されている経過を見ることができないため、表面以外の見えない部分が実際どのようになっているかは全くわかりません。
2.メーカー
マスメディアに広告を出しているような会社から、比較的地域限定の会社まで大小様々ありますが、基本的には設計から施工までを一括で請け負います。設計や仕様はある程度、規格化されています。
○基本的に設計から施工まで全て一通り面倒を見てくれます。設計や仕様を規格化しており使用材料を大量生産・購入することができる分、コストを抑えることができるのと同時に設計段階からコストが明確になります。
×設計や仕様は各社が決めた基準の中でのみ選択する形になります。その基準をはみ出る計画とした場合、比較的高額な特注費用がかかることが多いです。また広告費や営業職の人間に対する経費も建設費の中に含まれています。
3.工務店
一般的には地域限定の工務店による設計から施工までの一括請負となります。それぞれの会社により進め方は異なりますが、高度成長期以前は大半がこの形で住宅を建設していました。
○地域密着型の工務店であったり元々の知己であれば、親身になって要望を聞いてくれたり建設後のちょっとした補修、改修等も臨機応変に対応してくれることが多いと思います。
×会社によって異なりますが、設計部門が無く営業や現場の担当者が設計をする場合や、設計部門があっても一般的な間取り以外は対応できない場合が多くあります。また設計施工一貫のため設計や見積内容の確認は施主自身が行う必要があります。
4.設計事務所
一般的には設計および監理のみを行っていて、施工は別途、建主と施工業者で請負契約を結ぶ形となります。建主の要望と予算から設計を行い施工業者に見積を依頼、その見積内容を確認します。その後、工事に入ると今度は設計内容が正しく施工されているかを監理するのを主な業務としています。
○事務所によって内容は異なりますが、基本的にメーカーや工務店よりも自由度の高い設計が可能です。また施工業者からの見積や現場での工事内容に対して第三者としてのチェックを入れることで、価格と工事品質を適正にすることができます。
×設計内容については、それぞれの設計者の考え方によりますし、それ以前に考え方の合う合わないということもあります。また、ひとつひとつの住宅がオーダーメイドとなるため、設計段階でコストを明確にすることが難しく、どうしても見積次第となってしまう部分があります。
ここまで、簡単に住宅の入手方法について簡単にまとめてきました。
では、実際にどうしたら良いのかということになると、住宅に求めるものも、置かれている状況も人それぞれですから、全ての人にとって正しい選択肢というのはありません。
ただ、向き不向きというのを割とイメージしやすい、住宅の計画を「登山」に喩えた話があります。
ハウスメーカーはリフトで一気に山頂に連れて行ってくれるようなもの。
工務店は山小屋に泊めてくれるが自分で山頂まで登るようなもの。
設計事務所はガイドを雇って自分の足で山頂まで登るようなもの。
言い換えると
ハウスメーカーは、至れり尽くせりで確実に山頂まで連れて行ってくれますが、見える風景も決まっています。工務店は、極端に言えば自分次第でどのようにでもなりますが、サポートは少なめです。設計事務所は、ガイドがサポートしながら一緒に登ってくれますが、あくまで自分の足で歩く必要があります。まあ、これはあくまで喩え話なので必ずしも正確ではないかもしれませんが、ある程度イメージしやすいかと思います。これまでの経験上、設計事務所に依頼する建主さんは、人柄や出来上がる住まいは十人十色ながら、どこか住宅をつくる過程も楽しんでおられる方ばかりだと思います。