流山の家

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流山の家

用途戸建住宅
所在地千葉県流山市
工事種別新築
業務範囲設計監理
床面積121.46㎡/36.74坪
構造設計株式会社NFC

近年、めざましい開発が進む千葉県流山市において、夫婦+乳幼児2人+犬2匹という新しい家族が住まうための理想的な環境とはどのようなものか、というスタートラインがあった上で、本プロジェクトは土地探しから始まりました。様々な話し合いを重ねていきながらも、ライフスタイルはリモートワークに大きく傾いていたことで、生活インフラの利便性は優先順位を下げ、一方で、家族全員が豊かに暮らしていけるよう、広い敷地と伸びやかな建物プランの実現にフォーカスされていきました。

敷地は整形の北東角地ですが、約235坪の広さを獲得できたことで周辺環境からの懸念はほとんどなくなりました。また、将来的にも家で過ごすことが多いライフスタイルとなることや、すべての居室に午前中心に気持ち良い日照を取り込むということを考えていった結果、南東に大きく開くL字型の平屋が最適解となりました。室内計画としては、南北に伸びる長い廊下に寄り添って充実した共用収納を集約することで各個室の有効面積をスリム化。延床面積36坪余りの4LDKにも関わらず、30帖を超えるLDKとそれに繋がる奥行深いインナーテラスを実現し、最高天井高3.5mの空間容積とも相まって、どこで何をしようにもストレスのない明るい共用部を獲得することができました。

一方で本プロジェクトでは、一見すると単純な平面計画に思えますが、西側隣地のやや圧迫感ある建物をなるべく生活の視界から遮ること、広いながらも敷地を無駄にしないこと、そして南南東方向の森の景観および日照性に最もフォーカスした方が良いということ等の理由から、L字の角度は直角より少し開き97.5度に微調整することで、過ごし方や空間にどのようなインパクトが生まれるかについて考えることができました。現状としては、この[ +7.5度 ]という微妙な開きによって、暮らしの時間軸は晴天率が高いとも言われる南南東方向を自然に捉えることに繋がったのではないかと考えられ、また、深く包み込む片流れの屋根ラインとも相まって視線が緩やかに振られることで小さなパースペクティブが利き、中庭に立体的な奥行を生み出しているのではないかとも感じられます。このように、小さな振れ角度でも大きなインパクトを得られることが分かったことで、今後の建築計画にも役立てることができそうです。